W'UP★2月5日~2月22日 土に還る —「そこにある」ものたちの声— 村越慧写真展 iwao gallery(台東区蔵前)

土に還る —「そこにある」ものたちの声— 村越慧写真展
会 期 2026年2月5日(木)~2月22日(日)
会 場 iwao gallery(東京都台東区蔵前2-1-27 2F)
開館時間 木・金曜日 13:00~19:00/土・日曜日 12:00~17:00
休館日 月曜日、火曜日、水曜日
入館料 無料
ホームページ https://iwaogallery.jp
見どころ
写真家・村越慧は、コロナ禍に栃木県益子町へ移住し、身近なものを被写体にカメラによる視点の可能性を探るobjetシリーズを発表してきました。本展では、益子に拠点を移したことにより、他者の視点を通して被写体と向き合い、汎用されてきたものが個人的な存在へと移行していく様子が写し出されています。レンズの奥に浮かび上がるのは、時間の流れや、そこに刻まれた記憶の連なりです。村越がレンズを通して耳を傾ける「人がものに何を語りかけ、そこにあるものたちはどう語り返すのか」という問いを、静かな佇まいの作品を通して感じていただける展覧会です。
アーティストステートメント
生物は循環機能を持ち破壊と再生を繰り返し生きています。私たちの身体的な傷も心理的な痛みも時間と共に修復、あるいは変化させてくれます。一方で、人がつくる「もの」は自己修復することはなく、素材によって異なる時間のスケールで一方向的に変化してゆきます。それは一般的には綻びや劣化を意味するのかもしれませんが、人はそこに何かを見出すこともできます。
道具は用途と目的を持って作られます。はじめは傷ひとつない道具も、やがて時間を経て回み、汚れ、傷つき、破けます。ふと気がづくと、人の道具に対する見え方が変わっています。その道具を使うという視点から、「そこにある」一つのものとしての存在への意識が生まれています。何かしらの行動を果たすための用途が脱ぎ捨てられ、そのものが存在することを五感で感じると対象へとなってゆきます。双方向的な関係性に近づくのかもしれません。もはやそこにあるものは単なる人工物ではなく、自然を構成する要素と同じような存在と言っても良いのではないでしょうか。
作品の被写体は日々の生活で使われたであろう無名のものたちです。古物として人の手を渡り、一つひとつ生い立ちを辿ることも難しい。現在、益子で古道具店「時余利」を営む君島北斗氏がこれらを大切にしています。それぞれのものの作り手が想像もしなかった時代に、知らない場所で、人から人へ継がれています。人がものに何を語りかけ、そこにあるものたちはどう語り返すのか。私はレンズを通してそっと耳を傾けます。
プロフィール
村越慧(Kei Murakoshi)
1993年東京都出身。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻で主に陶磁史を研究。卒業後、東京綜合写真専門学校に入学。在学中より大判カメラの暗室写真制作を始める。卒業後、写真スタジオ勤務とアシスタントを短期間経て、コロナ禍に栃木県益子町へ移住。地域おこし協力隊として役場勤務を経て2023年より写真家として独立。
陶芸を中心に工芸分野への関心を軸に、「ものを見る視点」を大きなテーマとして主にモノクロでの作品制作を行っている。現在、益子の空き家を活用し小さな撮影スタジオ兼暗室を整え制作拠点としている。
協力 古道具 時余利



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